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ひとりが住むには大きい、一戸建ての家だった。
家の中は、宏次が出す物音以外何も音がない。
2階に3部屋あるが、そのどれにも電気が灯っていない。
宏次には離婚暦があった。
妻と子供は出て行ってしまい、この家の借金だけが残った。
いや、ふたを開けてみるとそれだけではなかった。
元、妻は大きな借金を残していたのだった。
子供の奨学金も使い果たしており、そのローンの返済にも追われた。
宏次はその金額に絶望し、贅沢品と思われるものは全て処分し
車も軽四にした。こんな片田舎では車は必需品だ。
しかし、バイクだけは唯一の宏次の気分転換だ。
借金を必死になって返す中で楽しみが何もないなんて、自殺しろと言われているようなもんだ。
その分、食費を減らすさ。
宏次は必死になって借金を返済していった。
完全返済にはあと25年の計画だ。
そのときのことを考えると気が滅入り、衝動的に自殺しそうな気がするので先のことは考えないようにし、ひたすら目の前の数字だけを見て借金返済に追われた。
元、妻が作った借金だ。妻に返済させればいい。
兄弟は宏次にそうアドバイスをした。
だが、元、妻は持病があり働けない。実家に戻ったものの、その借金は親に言えないだろう。事実、妻の両親が宏次のところに怒鳴り込んできた。
「離婚の原因は借金を作ったおまえの方にある」
と。
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