第四章:優奈の状況

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一方、夫のほうはそんな優奈の気持ちに薄々気づいていた。 しかし、夫は優奈を愛していた。 大事だった。 「イケメン」なんてことを1度も言われたことがない。 そんな夫ー和也(かずや)には優奈が自慢だった。 どこに連れて行っても 「まぁ可愛いお嫁さんを連れて」 と言われる。 一緒に歩くと、すれ違う男の目線が優奈を追う。 そして和也を見ると、悔しそうな目で和也をにらむ。 和也は有頂天だった。 結婚して3年目のお正月、優奈に1通の年賀状が届いた。 差出人は、優奈が愛していた男性からだった。 (もしかして、結婚の通知?) どきどきしながら裏返すと 「あけましておめでとうございます」 と、印刷された殺風景なはがき。 (なんだ) とほっとした優奈の目に飛び込んできたのは彼の直筆の文字。 「何か困ったことがあれば言ってこいよ」 この文字を見たとたん、優奈のこころは激しく揺れた。 そして、そこに書かれていた携帯電話の数字を指でなぞり そっとかばんに入れた。 数日間、いや、数週間優奈は迷った。 (この気持ちは封印しておかなきゃいけない) その思いで揺れた。 結婚して3年。 優しい夫に対して、「情」が生まれつつあった。
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