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「あり・・・」
と言いながら宏次の顔を見たとたん、優奈の鼓動は
「トクン」
と音を立てた。
宏次はうつむき加減で、真剣な表情で優奈を見つめていた。
その目つきは、まるですねた子供が愛に飢えているようだ。
「どうしましたか?」
優奈が尋ねても目をそらさない。
とうとう優奈の方が目をそらしてしまった。
「あっ、失礼しました。ある人にとても良く似ていると気づいたもので。」
顔を赤くしてしきりに失礼を詫びる宏次。
優奈の占いは、誕生日を聞いて占う。
だから年齢も必然と分かってしまう。
目の前の男性はもう50歳。そんな大の大人が顔を赤くして照れている。
その瞬間、優奈のこころの隅っこに
宏次がするりと入ってきてしまった。
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