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家族が亡くなったら、残った家族は繁忙になる。
それこそ、悲しむ暇がないぐらいに。
あっという間に49日が来て、あっという間に初盆が来て、あっという間に一周忌。
人は、そうして悲しみを乗り越えていくのだという。
そうして悲しみの大きさを、時間にゆだね、少しづつちいさくするのだ。
そんな優奈のこころの堰を切ったのが宏次の言葉だった。
「最愛なるご尊父様のご冥福をお祈りいたします。
ボクの父も、9年前に他界いたしました。
癌の末期で、ホスピスでの最期でした。
最期、優奈さんのようにお互い「ありがとう」と言い合えなかったのが残念です。
優奈さん、最期に感謝を伝えられてボクには羨ましいです。
今は、充分に泣いてください。そういう「時間」が必要だと思います。」
優奈は父と「ありがとう」と言い合えた。
しかし、
あっという間に入院して、あっという間に重症室に入れられ
あっという間に逝ってしまった。
宏次は、「充分に泣いてください」と言ってくれた。
「時間が必要だ」と言ってくれた。
言葉は言霊だ。
宏次の優しさが身に、こころに染み、優奈は父の死後初めて思い切り泣けた。
そしてつい、宏次にメッセージをしてしまった。
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