第八章:同居

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そしてつい、宏次にメッセージをしてしまった。 「宏次さん、こころのこもったメッセージありがとうございました。  父がいなくなった後、宏次さんからのメッセージを読み、初めて号泣できました。  泣いて泣いて、涙が枯れるかと思うほど泣きました。  でも、まだまだ悲しいのです。宏次さんはどうやって乗り越えられましたか?」 ほどなくして、宏次から返事が届いた。 「優奈さん、いっぱいいっぱいお話してください。優奈さんのお父さんのことを。  ボクに話してください。口にすることで悲しみはきっと半分になります。  その半分を、ボクに分けてください。」 「お話、聞いてくださいますか?」 「いいですよ。ボクは一人暮らしです。いつでもどうぞ」 普通はこんな会話、成立しないだろう。 だが、正常な状態ではなかった優奈はこの言葉に(すが)った。 一方で宏次も、これをチャンスに優奈を口説こうとか下心は全く考えてなかった。 ただ、父を亡くした者同士、悲しみを分かち合えたらとだけ考えていた。 理由をつけるとするならば、宏次も一人暮らしで淋しく、誰かにそばにいて欲しかった。
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