28人が本棚に入れています
本棚に追加
「夕食を一緒に食べませんか?」
行動を共にするようになって3ヶ月ほど経ったとき、宏次に誘われた。
優奈は即返事した。
「食べたい」
「ははは。じゃあボクの手料理を披露してしんぜよう!」
「え?いいの?お邪魔しても」
「もちろん。以前も言ったでしょ?」
優奈は宏次の家には上がったことはない。
宏次もあえて誘わなかった。
優奈が宏次の自宅に車を停め、色々なところへ車を走らす。
昼食も宏次のテリトリーの中で色んなレストラン、ラーメンを食べに行った。
そのどれもの店に、優奈は足を初めて入れた。
少しずつテリトリーを広げていき、楽しそうな優奈の表情を見るだけで幸せだった。
その分、別れて自宅でひとり飲むお酒は苦かった。
(ふん。借金のあるボクが優奈さんをさらう事なんて、できない。分かってるさ)
でも1度ふたりでお酒を飲んでみたい。この家で。
勇気を振り絞って誘ってみたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!