第八章:同居

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「夕食を一緒に食べませんか?」 行動を共にするようになって3ヶ月ほど経ったとき、宏次に誘われた。 優奈は即返事した。 「食べたい」 「ははは。じゃあボクの手料理を披露してしんぜよう!」 「え?いいの?お邪魔しても」 「もちろん。以前も言ったでしょ?」 優奈は宏次の家には上がったことはない。 宏次もあえて誘わなかった。 優奈が宏次の自宅に車を停め、色々なところへ車を走らす。 昼食も宏次のテリトリーの中で色んなレストラン、ラーメンを食べに行った。 そのどれもの店に、優奈は足を初めて入れた。 少しずつテリトリーを広げていき、楽しそうな優奈の表情を見るだけで幸せだった。 その分、別れて自宅でひとり飲むお酒は苦かった。 (ふん。借金のあるボクが優奈さんをさらう事なんて、できない。分かってるさ) でも1度ふたりでお酒を飲んでみたい。この家で。 勇気を振り絞って誘ってみたのだ。
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