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「食べたい。いいの？」
と答えた帰り、優奈の胸はドキドキしていた。
女性が一人暮らしの男性の家に上がることをどう意味しているのか、
優奈にでもよく分かっている。
（始めてはいけない。絶対に。）
と思いつつ、優奈もまた、宏次と楽しいお酒が飲める予感がして嬉しかったのだ。
ー当日ー
優奈は和也に
「今日は友達の家でパーティがあるから遅くなる。ご飯はいらない」
と告げて出てきていた。
車は代行運転で帰ろうと考えていた。
シャワーを浴び、途中で差し入れのビールを買い宏次の元に向かう。
和也に対する背徳心はなかった。
宏次にこころ惹かれていた。
ただ、２人の関係を始める気持ちはなかった。
ー始めれば終わる時が来るー
父との別れが優奈を慎重にさせていた。
「もう２度と、悲しい思いは嫌。」
つぶやきながらハンドルを握り、夕暮れの道を宏次の自宅へと急いだ。
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