第八章:同居

22/34
前へ
/87ページ
次へ
そのさりげない仕草を見たとき、 (これは、本気で好きになっちゃうやつだ!) と確信した。 ―――――― 朝食を食べ終え、優奈はまた寝室に戻った。 そしてベッドに身を横たえた。 程よく硬いスプリング。 布団で寝ている優奈には新鮮だった。 (いい気持ち・・・・・居心地がすごくいい) そのベッドは、離婚してから購入したのだと聞いていた。 「広い空間にぽつんとベッドがひとつだけじゃ淋しいから  ふたつ買ったんだ。」 と宏次が説明していたとおり、ベッドがふたつあることで この部屋のレイアウトが整っている。 優奈は少しの時間、まどろんだ。 とても幸せな気持ちだった。 毎晩、ここで宏次さんと眠れたらと考えたら涙が流れ出し また泣いてしまった。 宏次とこうして幸せな時間を過ごすことによって 優奈は泣き虫になってしまった。 宏次を好きになればなるほど、取り戻せない現実に絶望する自分がいた。 しばらくしてメッセージが携帯に届いた。 宏次からだった。 「おはよう。よく眠れた?ボクは昨夜、とても嬉しくて幸せだったよ」 携帯を握り締め優奈の頬を、また涙が伝った。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加