第八章:同居

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ある日、自宅で晩酌をしているときに和也と口論になった。 「誰と遊んでいるのか、相手は知っているんだぞ。  俺が訴えたら奴の人生は終わりだからな。社会的に抹殺してやる!」 すごんだ和也に、優奈は返事が出来なかった。 しかし、会うことはやめなかった。 会えないと気が狂いそうだった。 優奈は既成事実を作った。 実家の手伝いをするようになった。 「実家で泊まる」という理由のためだ。 宏次はもう出世し管理職となっており、優奈の実家には来なくなっていた。 本当ならフルタイムで働けばいいのだろうけれど いまは1分1秒でも、宏次との時間を作りたかった。 冬になり、灯油ストーブの出番が必要になった。 宏次のベッドで使われる毛布は、まるで雲の中にいるようで 信じられないほど暖かく、幸せな気持ちに包まれた。 優奈も、少しずつ泣かなくなってきた。 遠慮なくけんかし、お互い「こうちゃん」「優奈」と呼び合うようになった。 ―――――――― ある晩、ふと宏次が言った。 「優奈、そっちのベッドに行ってもいいか?」 「・・・・・・・・・」 (始めちゃダメ!世間から見たらもう始まっているかもだけど・・・) 「・・・・だめ。今、女の子なの」 「・・・・・そっか。じゃ、だめだね」 宏次はにこっと笑って天井を向いて目をつむった。 その横顔をじっと見つめる優奈。 見え透いた嘘だった。
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