第八章:同居

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「さすがに岬に来ると寒いね」 急に後ろから抱きしめられた。 展開にびっくりしたのと、高所にいる怖さで胸の鼓動は最高速度だ。 「優奈、胸がすごくドキドキしてる。伝わってくるよ」 「抱きしめると暖かいね」 言いながら優奈を宏次の方に振り向かせると、両頬を押さえ、キスしてきた。 高所で身動きできず、逃げることも出来ない。 口を離すと、宏次はまっすぐに優奈を見つめた。 「優奈、好きだ。もうダメだ、抱きたい。」 「何を言ってるの?」 「怖いの?始めるのが。声も震えてる。でもね優奈、ボクたち、もう始まってるよ」 さあ、 と優奈の手を取り車に引き返した宏次は、自宅に車を走らせた。 「この前の夜、優奈の布団に入ってもいいか、って聞いたでしょ?  あれで優奈が、うんって言ってたら終わりにしようと思ってた。  体の関係をものすごく望んでいるってしるしだとボクは思ってたから。  でも優奈は嘘をついて断った。で、思ったんだ。優奈もボクと同じで  ボクとの関係をものすごく大事にしたいんだなって。  だから、ボクも本気に出ることにした。」 
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