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優奈は黙っていた。
こころが激しく揺れていた。
(始まってたの?嘘。このままでいい。でも、女性として愛されたい!)
女は最期の恋人になりたがり、男は最初の恋人になりたがる。
(誰の言葉だったけ・・・)
ふたり無言のまま、車は宏次の自宅に着いた。
宏次はすばやく運転席から降り、助手席の優奈に手を伸ばす。
「さあ、寒いから入ろう」
優奈はうながされて、お姫様のように手をつながれて家の中に入った。
自宅の中はほんわかと暖かかった。
どうやら暖房が入っているようだ。
手をつないだまま、寝室へ向かう。
宏次は1歩1歩。優奈は半歩づつ。
宏次は優奈のペースに合わせてくれた。
寝室も暖房が入っていた。
優奈のコートを宏次が脱がし、優しくキスをしてくる。
長く、優しいキスだった。
優奈は聞かずにはいられなかった。
陳腐な言葉だけれど、もう、「別れ」は嫌だった。
「・・・・・こうちゃん、どんなカタチであっても、心は離れない?」
「もちろん。ボクのお姫さま」
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