第八章:同居

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ベッドでふたり抱き合い、優しいキスを繰り返した後、優奈は少しまどろんだ。 目を覚ますと、台所でガチャガチャと音がする。 どうやら宏次が夕食を作っている様子。 (私が眠っている間に買い物に出かけたのかしら。それとも、用意周到?) どちらにしても、宏次が「賭け」に出たらしいのは理解できた。 家にふたりで入れたとき、寒がりの優奈が寒くないように。 ベッドに入り服を脱いだときも優奈が寒くないように。 (後悔はしていないわ。やっと、自分に正直になれた気がする) 服を着てリビングに入ると、宏次の優しいまなざしが目に飛び込んでくる。 つい、恥ずかしさにうつむいてしまう。 「お風呂場にパジャマがあるから着替えておいで。乾杯しよう」 優奈は言葉に従った。 和也にまた嘘のメッセージを送った。 (私はきっと地獄に落ちる) と思いながら。
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