第二章:きっかけ

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宏次は、優奈に占いをしてもらったときにほんとうにびっくりした。 初恋の人によく似た面影を、優奈が残していたからだ。 それまでは、優奈の顔をしっかりと見ることはなかった。 たくさんいる中の、1出品者だと思って対応していたからだ。 それに、恋愛しているような余裕は宏次にはなかった。 だから女性を見ても、恋愛感情なんか抱くはずがないのだ。 だからつい、初めてまともに見た優奈の表情を穴が開くほど見つめてしまった。 (彼女がここにいるはずはない。でも・・・) 宏次の胸が高まる。 色んな思い出がフラッシュバックのように駆け巡る。 はっと気づくと、優奈が不思議そうな、でも笑顔をたたえて宏次を見つめていた。 急に恥ずかしくなり、「ある人にとても良く似ていると気づいたもので」と言い訳を口にしてしまったのだ。
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