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それからというもの、俺は真山とたびたびこの坂辺りで出くわすようになった。
俺はいつも水曜日のこのくらいの時間、1、2週間に一度くらいのペースで会ったけれど、俺が知らないだけで真山はもっと頻繁に訪れていたかもしれない。
わざわざうろうろと知り合いを探すより親しい友人と会う約束した方がいいんじゃないか?と訊いたこともあるが、忙しいかもしれない友達を付き合わせるよりたまたま誰かに会えるくらいの方が気楽でいい、と真山は言った。
(相変わらず変わってんな)
何度となく真山と会っていると初めの頃より話す時間が次第に長くなっていった。
内容はとりとめもなく元クラスメイトの近況や真山の学校の愚痴、小学校時代の思い出話…
改めて真山と話してみると、確かに風変わりなところもあるのだけど、思っていた以上に毒気がなく普通の女子だと思った。
それから何度目かに会った頃から真山は別れ際にいつも
「逢えてよかった。ありがとう」
と言った。
そして7月半ばのひどく暑い日に
「夏休み元6年2組のみんなで遊んだりしないの?私も呼んでよ!」
とかいう話をした日を最後に夏休みに入った。
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