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翌日の夕方、俺は部活を終え、山嵜や他の1年生部員たちと一緒に片付けをしていた。
この頃はだんだんと日暮れが早くなり、ひんやりとした初秋の空気に背中の汗が冷え、心地が悪い。
俺たちはいそいそとボールを集め、コートブラシをかけて、それらを体育倉庫に運び込む。
ガタガタガターン!!
誰かが雑に置いたブラシが倒れ、その勢いで他のブラシやトンボが続けて倒れた。
「俺直しとくよ。ネット張ってきて」
「悪いな」
俺が言うと他の奴らはネットを張りにコートに戻って行った。
一人残ってブラシを立て掛けていると、しばらくして誰かが体育倉庫に入ってきた気配がした。
振り返ると、女子テニス部で隣のクラスの木手だった。
それだけ認めると俺はまたブラシを片付け続ける。
「あの…恭本君」
不意に背後で木手が俺を呼んだ。
そう言えば木手と話すのは初めてかもしれない。
「何?」
「あの…恭本君、あとでちょっと話できる?」
「え?」
「あの、着替えてきてからでいいんだけど…昇降口の脇の裏庭の入り口で待ってるから…」
ほとんど接点のない木手が何の用だろう?
部活のこと?男子テニス部と女テニが絡むことなんてないのだけど?
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