9月─賭け

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 翌日の夕方、俺は部活を終え、山嵜や他の1年生部員たちと一緒に片付けをしていた。  この頃はだんだんと日暮れが早くなり、ひんやりとした初秋の空気に背中の汗が冷え、心地が悪い。  俺たちはいそいそとボールを集め、コートブラシをかけて、それらを体育倉庫に運び込む。  ガタガタガターン!!  誰かが雑に置いたブラシが倒れ、その勢いで他のブラシやトンボが続けて倒れた。 「俺直しとくよ。ネット張ってきて」 「悪いな」  俺が言うと他の奴らはネットを張りにコートに戻って行った。  一人残ってブラシを立て掛けていると、しばらくして誰かが体育倉庫に入ってきた気配がした。  振り返ると、女子テニス部で隣のクラスの木手だった。  それだけ認めると俺はまたブラシを片付け続ける。 「あの…恭本君」  不意に背後で木手が俺を呼んだ。  そう言えば木手と話すのは初めてかもしれない。 「何?」 「あの…恭本君、あとでちょっと話できる?」 「え?」 「あの、着替えてきてからでいいんだけど…昇降口の脇の裏庭の入り口で待ってるから…」  ほとんど接点のない木手が何の用だろう?  部活のこと?男子テニス部と女テニが絡むことなんてないのだけど?     
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