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訊き返そうとしたが、その時体育倉庫に話し声が近付いて来て、木手は慌てたように出ていった。
入れ替わりにサッカー部がボール籠を運び込んでくる。
俺はさっさとブラシを片付け終え、サッカー部の顔見知りと挨拶程度の話をすると、体育倉庫を出た。
コートに戻るとちょうどネットを張り終えるところで、俺は山嵜たちと合流して校舎に戻った。
「恭本、帰ろう!」
制服に着替えて、リュックを背負うと山嵜が言った。
「ごめん、ちょっと呼び出されてて。先帰ってて」
「先生?」
「いや、女テニの木手。俺、あんまり知らないんだけど…」
「えっ!それってもしかして、」
山嵜が急に声を潜める。
「告白?」
山嵜の顔が何やら輝いている。
告白、の言葉に俺は一瞬どきっとしたが、
「そんなんじゃねーよ。ほとんど話したことないし。クラスも一緒になったことないし」
「わかんないよー?だって恭本が裏庭に呼び出されてフルボッコとか考えられないし」
「それは俺も心当たりないわ…でも告白も心当たりないから」
「じゃあ俺待ってる!」
山嵜は明らかに面白がっている。
「…じゃあシメられてたら助けに来て」
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