9月─賭け

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 訊き返そうとしたが、その時体育倉庫に話し声が近付いて来て、木手は慌てたように出ていった。  入れ替わりにサッカー部がボール籠を運び込んでくる。  俺はさっさとブラシを片付け終え、サッカー部の顔見知りと挨拶程度の話をすると、体育倉庫を出た。  コートに戻るとちょうどネットを張り終えるところで、俺は山嵜たちと合流して校舎に戻った。 「恭本、帰ろう!」  制服に着替えて、リュックを背負うと山嵜が言った。 「ごめん、ちょっと呼び出されてて。先帰ってて」 「先生?」 「いや、女テニの木手。俺、あんまり知らないんだけど…」 「えっ!それってもしかして、」  山嵜が急に声を潜める。 「告白?」  山嵜の顔が何やら輝いている。  告白、の言葉に俺は一瞬どきっとしたが、 「そんなんじゃねーよ。ほとんど話したことないし。クラスも一緒になったことないし」 「わかんないよー?だって恭本が裏庭に呼び出されてフルボッコとか考えられないし」 「それは俺も心当たりないわ…でも告白も心当たりないから」 「じゃあ俺待ってる!」  山嵜は明らかに面白がっている。 「…じゃあシメられてたら助けに来て」     
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