9月─賭け

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 はたして山嵜の勘は的中した。  もちろんシメられたわけではない。  告られた方だ。 「恭本君、私と付き合ってもらえませんか?」  そんな言葉と、返事は急がなくていい、という内容だったと思うのだけど、詳しくは何を言われたかよく覚えていない。  木手が話している間、おそらく3分とかそのくらいの短い時間だと思うけれど、俺は別のことを考えていた。  真山のことだ。  今のこの状況を真山が知ったらどう言うだろうか。  例えば、 「恭本、彼女できたの!?おめでとう!」 とか言うんだろうか?  それとも…?  昇降口に戻ると山嵜が待っていた。  俺の姿を見ると普段見ないようなキラキラした笑顔で駆け寄ってくる。 「どうだった!?」 「とりあえず無事だ」 「無事かどうかはどうでもいいよ。 で?やっぱり告白?」 (無事かどうかはどうでもいいんだ…)  親友だと思ってたのに薄情なやつだ。 「…付き合ってくれって」 「ひゃっはー!!」  山嵜は調子はずれな動きで人気のゆるキャラみたいな歓声を上げる。 「恭本もそっち側の人間かー!」 「そっちって…いや、俺付き合うとか言ってねーし」 「え!?振ったの?」 「いや。返事急がないって言ったから…」     
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