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「うわー!悪い男!」
山嵜が派手なリアクションで退く。
「悪くない!向こうが急がないって言ったの!」
俺のいらつきとは対称的に山嵜はどこまでも楽しそうだ。
「何の話~?」
不意に背後にのんびりした声がした。
この面倒臭さを助長する気配がものすごく漂ってくるような…
「あぁ、おーちゃん!」
おーちゃんは5、6年の時同じクラスで、当時俺達3人は気が合っていつもつるんでいた。
今は隣のクラスだが未だに何かと仲が良い。
ちなみに、背が高く可愛い系の顔立ちのおーちゃんはクラスの女子からも人気があるみたいだけれど、本人は年上好きなのであまり興味はないみたいだ。
「委員会で遅くなっちゃってさぁ。テニス部も今帰り?遅くね?」
「おーちゃん!恭本が…!」
「余計なこと広めんな!」
話したくてたまらない空気全開でおーちゃんに語り出そうとする山嵜を慌てて制する。
が…
「えー!恭本君、山嵜君には言えることを俺には言えないのー!親友だと思ってたのに~」
と、おーちゃんが眼をうるうるして見せる。
もちろん演技なのにおーちゃんの憎めない人柄からかどこか抗えなくなる。
これで山嵜におーちゃんが加わり、俺のいじられっぷりが倍増決定だ…
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