9月─賭け

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「うわー!悪い男!」  山嵜が派手なリアクションで退く。 「悪くない!向こうが急がないって言ったの!」  俺のいらつきとは対称的に山嵜はどこまでも楽しそうだ。 「何の話~?」  不意に背後にのんびりした声がした。  この面倒臭さを助長する気配がものすごく漂ってくるような… 「あぁ、おーちゃん!」  おーちゃんは5、6年の時同じクラスで、当時俺達3人は気が合っていつもつるんでいた。  今は隣のクラスだが未だに何かと仲が良い。  ちなみに、背が高く可愛い系の顔立ちのおーちゃんはクラスの女子からも人気があるみたいだけれど、本人は年上好きなのであまり興味はないみたいだ。 「委員会で遅くなっちゃってさぁ。テニス部も今帰り?遅くね?」 「おーちゃん!恭本が…!」 「余計なこと広めんな!」  話したくてたまらない空気全開でおーちゃんに語り出そうとする山嵜を慌てて制する。  が… 「えー!恭本君、山嵜君には言えることを俺には言えないのー!親友だと思ってたのに~」  と、おーちゃんが眼をうるうるして見せる。  もちろん演技なのにおーちゃんの憎めない人柄からかどこか抗えなくなる。  これで山嵜におーちゃんが加わり、俺のいじられっぷりが倍増決定だ…     
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