9月─賭け

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(やっぱり面倒臭いことに…)  俺は「はぁぁぁぁ…」と深く溜め息を吐いた。 「分かったよ、おーちゃん…悪かった」 「だよねー!恭本君心の友~!」  打って変わってニコニコするおーちゃんに、山嵜が先ほどの一件をこの上なく楽しそうに話して聞かせた。  そして、山嵜の話をひとしきり聞いたおーちゃんが言う。 「へーそうなんだー。 まぁいいんじゃない?付き合っちゃえば?」 「まぁいい、って…」  何だそれ?他人事だと思って。  おーちゃんによると、木手はおーちゃんと同じクラスで、この春からこの街に引っ越して来たらしい。  美人転校生と容姿を取りざたされがちだけれど、性格的にも明るく社交的で、何事もそつなくこなせるタイプで男女問わず評判が良く、クラスの女子の中心グループにいるらしい。  そんな意味での「まぁいいんじゃない?」。  実際一緒に話を聞いていた山嵜も「まぁいいんじゃない?」と言った。  しかし、俺からしたら木手の容姿だの人柄だのとかはどうだっていい。 『真山だったらどう思う?』  俺の悩みはその一点だけなのだから。 「いや…木手が悪い奴じゃないのは分かったんだけどさ…」 「ならいいじゃん。付き合っちゃえよ?」 「うんうん、それがいいよ!そうしなよ!」     
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