88人が本棚に入れています
本棚に追加
(やっぱり面倒臭いことに…)
俺は「はぁぁぁぁ…」と深く溜め息を吐いた。
「分かったよ、おーちゃん…悪かった」
「だよねー!恭本君心の友~!」
打って変わってニコニコするおーちゃんに、山嵜が先ほどの一件をこの上なく楽しそうに話して聞かせた。
そして、山嵜の話をひとしきり聞いたおーちゃんが言う。
「へーそうなんだー。
まぁいいんじゃない?付き合っちゃえば?」
「まぁいい、って…」
何だそれ?他人事だと思って。
おーちゃんによると、木手はおーちゃんと同じクラスで、この春からこの街に引っ越して来たらしい。
美人転校生と容姿を取りざたされがちだけれど、性格的にも明るく社交的で、何事もそつなくこなせるタイプで男女問わず評判が良く、クラスの女子の中心グループにいるらしい。
そんな意味での「まぁいいんじゃない?」。
実際一緒に話を聞いていた山嵜も「まぁいいんじゃない?」と言った。
しかし、俺からしたら木手の容姿だの人柄だのとかはどうだっていい。
『真山だったらどう思う?』
俺の悩みはその一点だけなのだから。
「いや…木手が悪い奴じゃないのは分かったんだけどさ…」
「ならいいじゃん。付き合っちゃえよ?」
「うんうん、それがいいよ!そうしなよ!」
最初のコメントを投稿しよう!