0人が本棚に入れています
本棚に追加
うっ…何か夢を見てた気がする…
そうか、僕は会社帰りに電車に乗って座ったまま寝ちゃってたのか。
電車の揺れは疲れている身体には心地よく、ゆりかごに揺られる赤ちゃんの気持ちが分かる気がする。
「次は~春草~春草です。」
まずい…とっくに最寄り駅を過ぎてる。
次で戻れば30分程で着きそうだ。
さて、降りるかな…あれ?何かお腹が熱い…
見ると腹に深々と包丁が刺さってた。
何で乗り込んできた奴、包丁なんか持ってんだよ。
薄れる視界から閉まる電車のドアが見える。
「俺は死にたいんだよ!お前ら全員殺して死刑になってやる!」
僕らが何をしたっていうんだ…
他の乗客の痛みに苦しむ悲鳴が聞こえる。
うとうとしなければ、巻き込まれなかったのかな…
くそっ…だんだん瞼が重くなってきた。
電車はゆりかごの様に揺れながら次の駅を目指す。
けど、僕らにとっては死へのゆりかごだ。
死にたくない…死にたくないよ…
うっ…何か夢を見てた気がする…
最初のコメントを投稿しよう!