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その男は、ホルダと名乗った。この城をイバラで覆ったのは自分だという。
この城の人は呪いにより、全員100年眠りについた。
呪いを解くカギは、王女の目覚めであり、王女を目覚めさせることが出来るのは…
これから来る王子様なのだという。
「なぜ、呪いを?」
「しょーもない理由やで?」
話を聞くと、この王女の誕生祭に呼ばれなかった事に対して抗議した際、
口論からついカッとなり思わず呪いをかけてしまったのだという。
「だって、お皿が足りへんちゅう理由でパーティに呼ばれんて…おかしい思わへん?」
「まあ、それは思うけど…。」
「しかも『自分は長男さかい、我慢しなはれ』って言われて、それもまあーイラっとして我慢できへんかってん。
ウチは、こんな馬鹿な王様の赤ん坊なんて死んでしまえ!と呪うたけれど…
末の弟が慌てて言い換えたさかい、こないな有様なんや。」
それからホルダは、弟の魔法により100年間眠りについたこの城を…側で見ていたのだという。
イバラで覆う事で、守り続け、興味本位で近づく者は棘で刺し殺したのだと。
「だから、自分がおった時驚いたで。ウチが知らへん間に来客があるのは、2度目や。」
「2度目?……1度目は?」
「何年前やったか…何十年前やったか、忘れてもうたけれど。ウチの願いを叶えてくれるっていう、神様が現れたんや。」
「神?!ここにも来てたのね…。それで、ホルダは何を願ったの?」
「どーでもええことやで。そんなんより、ウチと遊んでや。」
「え?」
「王女さんの目覚めを待つ100年もの間…ずっと暇やったんや。王子が来るまで一緒に暇つぶし、しよーや。」
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