1人が本棚に入れています
本棚に追加
夕日の差し込む放課後の図書室に二人は気怠そうに座っていた。
「私今日占い1位なんだよ。良いでしょ? 」
栗色の髪を垂らし、両目を隠すような髪型の小柄な少女―――夢守院玲美―――は黒髪の目付きの悪い少年に話を振る。
「へぇ、なんか良いことあったか? 」
「いや実はまだなにも……」
「俺占いとか良く分かんないけどさ。あんま影響されるのも良くないと思うぞ」ふわぁと欠伸しながら―――武野蓮―――はパイプ椅子の背もたれに体重を預けながら伸びをする。
「べ、別にそんなに影響されてないよ。……にしても眠そうだねぇ」
「まあこうも人来ねえとやることねえしな。というかもう閉めて良いだろ早く帰らせろ」
「凄く分かる。……でも委員だし仕方ないね」
それを聞いた蓮は唇をへの字に曲げ不服そうな表情を浮かべる。
玲美はそれを横目で一瞥し、小さく欠伸をすると「……なんか眠いし、寝るし」そう言い机に突っ伏した。
「って寝るのそっちかよ」蓮は軽くツッコミをいれながら、椅子から立ち上がる。
近くの棚から本を取ると、席に戻る。すると玲美はすーすーと寝息を立てていた。
「本当に寝やがった。……まあ俺が起きてたら良いか」と蓮は取ってきた本を頬杖つきながらパラパラと捲る。
それから数分が経ち、ページの捲る音が止む。パタンと本が閉じられる音と共に寝息が1つ足される。
図書室は2人の寝息だけとなった。
最初のコメントを投稿しよう!