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「春日部先輩いますか……」
3年生の教室に、いたたまれない気持ちで乗り込む。
「お。亜美じゃん」
すぐさま本人が近寄ってきて、周りから野次が飛ぶ。
「あの、お話が…」
「なにー、呼び出し?」
コイツ。
わざと、声をデカくしてるな。
「…そうです。とにかく早く!!」
イライラした私は、先輩の腕を掴んで教室から連れ出す。
一際大きくなる野次は、もうこの際どうでもいい。
隣の空き教室に先輩を引きずり込むと、本人はニヤニヤ笑っている。
「そんなに俺が恋しくなったのー?」
「ち、違うから!」
「そう」
先輩はつまんなさそうな顔をすると、机に腰掛け私の髪を指先でクルクルと弄ぶ。
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