彼氏彼女とは

29/31
前へ
/278ページ
次へ
「春日部先輩いますか……」 3年生の教室に、いたたまれない気持ちで乗り込む。 「お。亜美じゃん」 すぐさま本人が近寄ってきて、周りから野次が飛ぶ。 「あの、お話が…」 「なにー、呼び出し?」 コイツ。 わざと、声をデカくしてるな。 「…そうです。とにかく早く!!」 イライラした私は、先輩の腕を掴んで教室から連れ出す。 一際大きくなる野次は、もうこの際どうでもいい。 隣の空き教室に先輩を引きずり込むと、本人はニヤニヤ笑っている。 「そんなに俺が恋しくなったのー?」 「ち、違うから!」 「そう」 先輩はつまんなさそうな顔をすると、机に腰掛け私の髪を指先でクルクルと弄ぶ。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加