ユリちゃん

　私があなたと出会ったのは小学校四年生の時だった。
あなたは四年生の二学期に私の通う小学校に引っ越してきた。
私達が仲良くなるのに、そう時間はかからなかった。
「ユリちゃん」と初めてあなたに話し掛けられたあの日。
ドキドキしたことを今でも覚えている。
私の名前は百合子で、男子はみんな私のことを名字にさん付けだったり、ユリとか呼び捨てだったりしたのにあなただけは違ったのだ。

　当時の私は今とは比べ物にならないくらい元気だったから、体を動かすことが大好きな私達は毎日サッカーやバドミントンをしたりして遊んでいた。
お互いの家に遊びに行ったりして、小学校の頃はあなたとほとんどの時間を一緒に過ごしていた。

　小学校を卒業すると、私達は同じ地元の市立中学校に進学した。
中学に入ると、お互い勉強や部活が忙しくなって遊ぶことは少なくなった。
でも、廊下ですれ違ったりすると今までのように仲良く話したりふざけ合ったりした。
そんな何気ない時間が私は好きだった。けれど、そんな時間がずっと続いていけばいいのにと思っていたのは私だけだったようだ。