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だから気付かなかった。
私の病室にあなたがやって来たことを。
寝たきりで耳も聴こえない、言葉もうまく話せないそんな私を見てあなたは酷く悲しんだという。
あなたを見て、白衣がよく似合う男の人だと感じたことだけは私は今もよく覚えている。
あなたはあの頃のように私のことを「ユリちゃん」と呼び、一緒に遊んだ子供時代を何回も話してくれていたらしい。
あなたは仕事の合間に一日に何度も私の部屋を訪れた。
その度に懐かしい気持ちになっていたのは、やはりあなただったからなのだろう。
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