ユリちゃん

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 奇跡が起きたのはその二年後。私は三十になろうとしていた。 ある日、いつものようにあなたが病室へやって来て、私は何も考えず、あの頃と同じようにあなたの名前を呼んでいた。 口が上手く開かなかったけれど、何度も何度もその名前を呼んだ。 初恋の人が私に会いに来てくれたのが嬉しかったから。 あなたはそんな私を見て、ただただ泣いていた。  どうやら記憶障害だけは回復してくれたみたいだ。 それ以外は今までと何も変わらないけれど、私にとってはかなり喜ばしいことだった。 あなたとの思い出に再び出会えたのだから。もう離したくないと思った。
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