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くらい、くらい、森の奥。
そこには、たくさんのイバラに囲まれた大きなお城がありました。
その大きなお城には、それは、それは、美しい姫が眠っているらしいのです。
そんな噂を聞きつけて、世の男性たちは我先にとお城の中へと入っていきました。
「美しい姫が起きないのは、運命の人からのキスを待っているからだ」
そう言い残して入っていった男性は少なくないでしょう。けれども、誰一人して屋敷から戻ってきた者はおりません。
「きっと、この城には魔物がいて、みんなソイツにやられちまったんじゃないか?」
一人の男性がそう呟いた瞬間、しんと、辺りが静かになりました。
この城には魔物がいる。
その一言だけでイバラの城で眠る美しい姫君に会いたいというものはいなくなってしまいました。
「それならば、私が行こう」
そのとき、一人の男性が手をあげたのです。
その男性は、となりの国のお人好しなスキもの王子と呼ばれるている王子でした。
なんでも、王子はあまりのお人好しぶりに自国を危険に晒したことがあるという噂。
「姫が魔物にとらわれているのならば、私は彼女を救いたい」
そう言い残し、王子は勇敢にも魔物が待つというイバラの城へと入っていきました。
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