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「何もしてないわよ、あんたに関してはね」
永遠は形の良い眉を寄せた。
「わたしは?」
「姉さんについては、色々テコ入れやら改竄やらしたけど」
刹那のニヤけた顔が一瞬で凍り付いた。
え? あたし、実力で受かったんじゃないの?
「そんな事したら、姉さんだって納得できないよッ」
いや、そうでもないんだけど……
売れないアイドル時代を経て、声優に転身した刹那には何より役が必要だ。
声優の仕事が充分あれば、副業をやらなくて済む。それに彼女はアフレコが好きだ、芝居が好きなのだ。
「だそうだけど、刹那、どうする? 仕事、降りる?」
嫌よッ!
出かかった言葉を飲み込む。いくら役に飢えているとは言え、そんな事を叫んでは姉として威厳が保てない。
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