最後の昼休み

7/10
前へ
/10ページ
次へ
  「ちょっと、立ってみてくんない?」 「へ?」    きゅ、急に何を? 「な……なぜに?」 「今年の春ぐらいだったかな。ここで飯食ってたらさ、あの辺に女の子がいたんだよ」  指さしているのは……私の教室だ。 「可愛い子だったんだよねぇ」  か……かわっ? かわわっ? 「もっぺん会えないかなって思ってさ、ずーっと昼休みここにいるんだけどさ。あれっきりなんだよねぇ」  そりゃ、覗いていた子も中庭にいますから。 「で、今日が最後の日なんだよね。俺、三年だから。今日こそって思ったんだけどダメで。ふと見たら何となく似てる人がいたもんで」  言いながら、先輩の頬が赤くなっている事に気付いた。  そりゃ、恥ずかしいに決まってる。  私は何を語らせちゃってるんだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加