終焉

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「前に…絡んだことのあるクリエーターの人からね、誘われたんだ。 起業するから、一緒にやらないかって。 チャレンジしてみようと思って。 まあ、今回の件は…踏ん切るきっかけのひとつではあるけど、それだけじゃない。 俺は、後悔もしてないし。 今だって…。」 「修吾…、ありがとう。」 今だって、あなたを愛してる。…言うつもりだった言葉は、ありがとうの言葉に、打ち消された。 その後も、何度も抱き合って、どろどろに溶け合った。 限界まで抱き合った頃には、夜もすっかり更けていた。 「修吾、退いて。シャワー浴びてくる。」 グスグスになるまで抱き合って、干からびそうなくらい吐き出した。 ベッドから抜け出した智徳さんの、バランスの取れた後ろ姿に手を伸ばした。 指先だけで背中を撫でると、振り返ってベッドに乗り上げると、俺の唇を舐め、キスをして言った。 「いいよ。ひとつだけ。残せよ。証を。」 その言葉は、まさに最後、終わりを告げているようで、無性に悲しくなり、気付くと俺は首を横に振っていた。
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