パフューム

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 人生にモテ期などなかった自分に、今頃そんな時期がやって来た?  高身長ばかりが目につくそれ以外は、平凡そのもの――はっきり言って奥二重で、ちっとも目元ははっきりしていないし、鼻が高いわけでもなく、パッと見ても印象薄そうで冴えないし。  性格的にも性質的にも、特出した部分はほとんどない俺は、この二十数年、正直モテた試しがない。  広海先輩のことを好きになるまでは、ことごとく玉砕し続け、付き合った数は片手が随分と余るほど、と言うか、たった一人。そして交際期間は一ヶ月。  そんなこの俺にほんと今更だ。なんで急にこんなことになったのか、よくわからないと言えるくらいの奇跡が最近、何度も起きている。  しかしこれで何度目だろうか。いまこられても非常に困るばかりでどうしようもないのに。  職場の休憩室で急に呼び止められた。  こちらはもうすでに、荷物を手にダウンジャケットまで着込んで、帰る用意万端だったと言うのに、勢いに気圧されて立ち止まる羽目になってしまった。 「ごめん、無理なんだ。付き合ってる人いるし、その人以外考えられないから」 「で、でも! 噂に聞くと瑛治くんの彼女ってすごい我が儘で、喧嘩よくしてるって聞くよ」  突然の告白に戸惑いながらそれに返事をすると、俺の言葉に半ばかぶせる勢いで反論が返って来た。 「えっ……噂?」  噂になるほど付き合っている人がいることを、公言しているつもりはないのだけれど、一体どこからそんな話が漏れるんだろうか。
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