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ミニパトを本部へ置き、すぐそばのアパートの自宅へ帰った。もともと今日は空港へ用事を済ませたら休みになるはずだった。
「どうして急に」
急いで着替えてこちらで買ったビッグスクーターに飛び乗る。いつかあの子がきたらと用意していたヘルメットを確認し、ホテルへ向かった。
目を覚ますと日も落ちはじめていた。この様子だと海にあの太陽は沈むのだろう。
(見たい)
部屋を出てロビーのカウンターに行った。どこからがきれいに見えるのか聞こうすると、奥から見たことある女の人がきた。
「あ!」
女性もまた、桃子を見て微笑む。
「あなた、あのパーティにいた人よね」
「はい」
ロビーの椅子に並んで腰掛けると、彼女は幸せそうに微笑む。
「お互いいい人が見つかったみたいね。わたし、今とても幸せなの」
「あ、旦那さんといらっしゃったんですか」
「あの人」
指さした方を見るとずんぐりむっくりした男性が手を振っている。
「ものすごくお金持ちなのよ」
「お金持ち、ですか」
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