エピローグ

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桃子が旅立つ日、明野と河合が見送りにきてくれた。河合は藤田から預かったといって小さなブーケを差し出した。 「実際にはこれで何か頼むという、ぼんやりした指示をうけて我々が決めて準備しました」 人差し指と親指を合わせて丸印を作った明野が笑っている。 「あんたがいなくなると寂しい」 「わたしも二人と会えなくなるのが一番悲しい」 「でもスカイプとかあるじゃない。一緒にまた飲もう」 「うん」 「琴浦さんに言っておいて。桃子を泣かせたら週末の便で私達が乗り込みますって」 「週末なんだ」 「社会人だからね」 「うん」 最後にぎゅっと二人の肩をしっかり抱いた。 「またね。桃子」 「じゃあね。桃子」 「ふたりとも、本当にありがとう」 ブーケを掲げて飛行機に乗り込んだ。 こんなふうに幸せになっていくのかと、飛行機の窓の向こうを見ながら思う。 恋人ができたと思ったら婚約者になった。入籍すれば夫婦になるのだ。思っていたより流れが早い。しかしそれは桃子がそう思うだけなのかもしれない。よそのカップルのことなんて考えたこともなかった。ただ一つ、わかっているが夫婦が家族になる瞬間を早く迎えたいという自分の気持ちだけだ。 わからずいた恋が唐突に始まり終わって次のステップに立たされている。桃子は着実に、ステップを踏み次へと向かう。 飛行機の窓から見える島は美しい緑が溢れ、真っ青な海に静かに抱きかかえられているように見えた。
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