再会

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俺の持ってきた泊り用の荷物を見てあの人は「とりあえずコインロッカーに荷物入れて遊びに行こうか」と言った。 ◆ 連れていかれたのは水族館だった。 名前は知っていたが、こんな場所に水族館があるのには驚いた。 いつのまにかチケットを取り出す小西先輩に、自分の分は自分で払うと言おうとしたけれど、そんなの多分お見通しの様で上手くかわされてあれよあれよといううちに入場ゲートを二人で通った。 やや、薄暗い館内で魚を眺める。 熱帯魚は色鮮やかで目を奪われる。 不意に手をとられる。 それが、あの人に手を握られたからだと気が付くのはすぐだった。 「ここ外ですよ。」 「暗いしどうせ周りからは良く見えないよ。」 薄暗いと言っても別に真っ暗では無い。 周りにいる人間の姿かたちはしっかり見えるし、今は連休中だ。人は多い。 だけど、そう思ったこと全てを飲み込んで、握られた手を確認した。 それから、そっと握り返すとあの人は照れたみたいに笑った。 目の前の水槽では紺色をした小さな魚が泳いでいる。 そこだけ水槽が明るくて、水に太陽の光が当たっているみたいでとても綺麗だった。 本当の南の国の海もこんな感じなのだろうか。 親の神社の関係で国外に家族で行くことはまずあり得ない。     
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