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お似合い
※すれ違ったり寄り添ったりより未来です。
「一度俺の会社見に来ない?ついでに友人に紹介するんだけど駄目かな?」
「俺男ですよ?そこのところちゃんと分かってますか?」
別に大地さんが一緒に会社を興した友人と知り合ったところで俺を含めた友達付き合いにはならないだろう。
俺は男で、しかもとてもこの人と釣り合っているとは思えなくて。そんな人間を紹介したところで意味があるとは思えなかった。
誰にも知られずに、この人と二人で過ごせるだけで俺は充分だ。
「えー、その辺は別にどうでもいい話だよ。
俺が男と付き合ってるって大体皆知ってるし。」
それに、この前その内の何人かと鉢合わせただろ?紹介しろってうるさくて。あの人は笑顔を浮かべた。
言い返して断った方が良いのは分かってる。
だけど、夏休みで大学の授業も無くて、断る理由が見つけられなかった。なんて言い訳にもならない。
仕方が無く頷くと、あの人は満足気に笑った。
◆
大地さんの働いているオフィスはマンションを流用している物で玄関でインターフォンを押そうとしているところで声をかけられた。
「うちになにかご用ですか?」
声をかけた人は、この前会ったときにいた人では無かった。
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