番外編2

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番外編2

朝起きて、いつもの日課は無くなった。 一度、今までの癖でドアノブに糸を引っかけて登校したところ、メッセージアプリでしつこいくらいにあの人から「どういう事?」「なんでそんなことするの!?」とメッセージが着ていた。 だから、糸はそのままで登校する。 今日は全校集会があった。 指から伸びる糸は真っ直ぐに前方に向かっている。 役員席にいる小西先輩を見つけると、あの人も俺に気が付いたようでニコリと微笑まれた、気がする。 だけど、別に笑い返すことも手を振ることもしなかった。 そもそも、付き合っている事以前にお互いにお互いを認識しているということすら周りには伝えていないのだから。 一度、寮の役員専用フロアで小西先輩と一緒にいるところに鉢合わせたことがある。 その時は、すっぽりと抱え込むように抱きしめられて、会長と顔を合わせることは無かった。 多分、俺みたいなのと付き合っていると思われるのは心外だったのだろう。 俺が小西先輩でも、きっと同じことをする。 その後、かなり大げさなくらい謝られたが、そんなに謝らなくてもいい。 自分でも、何故アンタが俺を選んだのか分からないのだから。     
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