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食事をとると大体はソファーでDVDを見たり、ゆっくりとすごす。
小西先輩は俺を甘やかすように抱き込む。
そうして、時々、付き合う前に殴ってゴメンと言って頬を撫でたりする。
別にどうでもいい人間には、暴言も吐くし、むかつけば殴りもするだろう。
「あまり、気にしすぎない方がいいですよ。」
気を使って言ったつもりが顔をくしゃりと歪められ、どうしたらいいのか分からなくなる。
「俊介はいつも、そうやって一歩引いてる。」
困ったように笑う小西先輩は、それから「良しっ!」と自分に言い聞かせるように喋ると、おもむろに俺を抱き上げた。
「な、…なんですか?この状況。」
「いや、全部さらけ出してもらおうと思って。」
「は……?」
何を言っているんだこの人は?
そのまま、俺を担いで寝室へ向かってベッドに放り出された。
視点がぐるりとなって今は天井しか見えなかった。
「さらけ出すって……。」
何を指しているのか分からない程、無知でも馬鹿でもなかった。
「自分が好き勝手したことを俊介に怒って欲しくて、更に好き勝手するって本末転倒かな?」
その表情があまりに切なげで、俺の心臓もギリギリとする。
だからだろうか、何も言えなかったのは。
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