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例え体だけの関係だったとしても、忘れられなくならないのだろうか。
だって、あんなに優しく触るのだ。
つい、あの人に触れられた時のことを思い出してしまって、無駄に赤面する。
「いや亘理、お前がおかしいって言ってるんじゃないよ!?」
慌てた様に言われ、思わず首を振って口を開く。
「いや、なんでもないんだ。」
「でも、普通なら問題になるよな。
もはやチートだろあの人。
この前も2-Aの大崎二股して殴られたって言ってたし。」
話題が変わってホッとする。
あの人のことについてまともに会話ができるとは思えなかった。
だから、会話が巡り巡って昼食を一緒に食堂で食べるということになってしまったのだが、上手くはぐらかせず混雑を極める食堂に向かうことになった。
食堂へ続く廊下は糸がまるで川の様に伝っていて、あまり気分が良くない。
なるべく下を見ないようにして食堂に入りテーブルに座った。
この学園の食堂はまるでレストランの様で食券を買わなくて済むのがいい。
自分より前に並んでいる人からのびる糸を見ていると、食欲がどんどん落ちてしまう。
教室でも糸を見たくないが為に授業中はただひたすら黒板を見ているか手元のノートを見ているのだ。
その手元ですら、最近までは見るもの億劫だった。
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