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あの人の友人を紹介されるのは高校の時生徒会役員の時とそれから後一人だけだった。
男同士なんだから当たり前だと思っていたし、そちらの方が良いとさえ思っていた。
周囲に受け入れられないあの人を見るのは嫌だったのだ。
だけど、扉を隔てた向こう側にいるあの人と五十嵐君は笑いあっていて、それを普通に受け入れていれている会社の人。
現実はこんなものという訳では無いだろう。
あの二人だから、なのだ。きっと俺とあの人の組み合わせだからなのだろう。
二人をぼんやりと眺めながらそんな事を思う。
「ああ、もしかして小西の事好きなんだ。」
そんなに分かりやすいのだろうか。思わず内田と名乗った男を見上げてしまう。
ああ気にしないでと笑いかけられ、どうしたらいいのか分からなくなる。
「まあでも、あれだけお似合いだとキツイよな。無理だってわかってるんだから。
男同士だってこと俺も忘れそうになるなあれは。」
そうですねとは返せなかった。
多分俺とあの人ではそういう風に周りに想ってもらう事は無理だろう。
周りなんてってあの人は言うけれど、仕事にしたって何にしたって一人ではできないのだ。ましてや興したばかりの会社の創業メンバーだ。
笑いかけることも、誤解を解くこともできず思わず俯く。
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