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「この本を見た瞬間、あの子に言っちゃいました。あのイケメンと付き合っても大丈夫よって」
どちらも『シラノ』を使っている同類だから。
「ごめんなさい。でも、あなたの選ぶ本、楽しみでした。どの本も、すごく好きでした。だから――」
女子高生は彼に本を押し付けると、逃げるように出口へ向かった。
その後を追って、彼もカウンターから飛び出す。
とっくにわかっていたからだ。彼のハートを鷲掴みにしていたのは、姿かたちではなく、シラノ――彼女の感想文だということを。(終わり)
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