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受け取った箱を大事に抱えて部屋に戻ると、葉は早速その晩に枕元に置いて眠った。
すると、翌朝すっきりと目が覚め、驚くほど体が軽い。
これは本当にご利益があるものに違いない、と、袱紗で丁寧に包み、肌身離さず持ち歩くようになった。
すっかり元気になった葉だったが、やはり子には恵まれず、家人の冷たい態度は変わらない。
それでも寝込んでばかりの頃に比べれば、働けるだけましだと思えた。
大姑も相変わらず気にかけてくれていたし、夫とは寝室を分けられたが、却って気が楽だった。扱いは女中と変わらないが、上客が来たときなど、体裁を保ちたい時は妻としての振る舞いを求められる。
そうして更に二年が過ぎた先日。
大姑が他界した。
ここ一年ほど体調を崩しがちになり、とうとう床を離れられなくなって一か月後のことだった。
この家で一番身近だった人を亡くし、悲しみに暮れる間もなく、夫と姑に離縁を告げられ、肌身離さず持っていた数珠以外は何も持ち出すこともできないまま、追われるように家を出された。
「―――― とまあ、大体こういうことです」
「そりゃあ、難儀なことだったねえ」
いつの間にかシヅも腰を落ち着けて話を聞いている。
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