5人が本棚に入れています
本棚に追加
1-3 脈動、そして――
時は二人が片腕を失ったあの日から数年後――
「テリオテリオ。こっちに帰ってるってホント?」
「……ん? 何の話だ?」
テリオが孤児院の庭で洗濯物を取り込んでいる時の事。院で生活している男の子の一人が、テリオの服を引っ張り尋ねてきたのだが――不意の質問だった上に主語もなく。何のことかさっぱり分からず、テリオは首を傾げて尋ね返す。
「クルーデさんのこと! 仲良しなんでしょ?」
付け足された情報に、『あぁ』と納得の声を上げるテリオ。
「クルーデさんねぇ……」
クルーデは宣言通り入団試験に合格し、現在は騎士団の一員として世界中を回っていた。院の子供たちとしても、自分達の先輩が騎士団員であることが嬉しいのだろう。風の噂でクルーデの話を聞くと、毎回テリオに確認してくる始末。
最初のコメントを投稿しよう!