1-3 脈動、そして――

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1-3 脈動、そして――

 時は二人が片腕を失ったあの日から数年後―― 「テリオテリオ。こっちに帰ってるってホント?」 「……ん? 何の話だ?」  テリオが孤児院の庭で洗濯物を取り込んでいる時の事。院で生活している男の子の一人が、テリオの服を引っ張り尋ねてきたのだが――不意の質問だった上に主語もなく。何のことかさっぱり分からず、テリオは首を傾げて尋ね返す。 「クルーデさんのこと! 仲良しなんでしょ?」  付け足された情報に、『あぁ』と納得の声を上げるテリオ。 「クルーデさん(・・)ねぇ……」  クルーデは宣言通り入団試験に合格し、現在は騎士団の一員として世界中を回っていた。院の子供たちとしても、自分達の先輩が騎士団員であることが嬉しいのだろう。風の噂でクルーデの話を聞くと、毎回テリオに確認してくる始末。
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