青春

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 私は、他人とは違うことをすればいいと考えます。授業中に突然奇声を発したり、教室を出て行ったりといった今振り返れば、恥辱を通り越して、恐ろしい行動に思えます。当然、周りの人間は、私と関わることをやめます。離れていく他人見て、その頃の私は、寂しいとかいう感情はなく、まるで自分が特別な人間になっていくような気がしました。行動は加速します。私は、野良猫を殺しました。気持ち悪かったです。いやな気分でしたが、こんな行動をする私は特別な人間なのだと、無理やり言い聞かせました。猫を殺したのは一回きりでやめました。私の行為を誰も見ていなかったからです。周りの人間にとっては、私は関わらないのが普通。関心を持たないのが普通となり、私は社会から離れていきました。  私以外で、私の犯した罪の責任者を選べと言われたら、A子さんというでしょう。そうです。私を「不細工」と言って振ったからです。あそこから、完全に道を踏み外しました。そうです。とても正気とは言えないめちゃくちゃな理屈です。そうです。これは精神異常者のロジックです。  精神異常者のロジックから逃れられないまま、長い時間が流れました。犯行の日、レンタカーを借りました。ナイフを持ちました。目標を定めました。目標とする条件は、人間であること。もちろん、私を「不細工」とののしった人物であればベターです。従って、私はできるだけ後者の人物のいる可能性が高く、人通りの多い「あの交差点」を選びました。アクセルを踏みました。ただ、それだけです。それからは意識が完全に飛びました。私は叫んでいたようです。無意識に叫んでいました。       
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