I.窓辺の君たちに。

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「うわっ」 思わず、耳を塞ぐ。 何なんだこの音は。 一体、何が起きてるんだ。 あまりにも大きい音に耳は麻痺し、視覚までもやられているようだ。 目の前の空間がゆがんだように映っていた。目が痛い。けれど、閉じやしない。悠十の姿を確認したかった。 「茉也、ここ」 は、として俺は悠十の声をたよりに彼と向き合う。 悠十が、俺の片方の手をとって自分の手を握り込んだ。 それは、握手と呼ばれるものだった。 一方的な、強引な握手。 「ねえ茉也、今だから言うけどさ 案外、『ゆうじん』て呼ばれるのも悪くなかったよ」 でも、だから。さよならだ。 今まで楽しかった、ありがとう。 悠十は確かにそう言って。 それから、ふと身体を手繰り寄せ、耳元へそっと囁いた。 ーーうまくやれよ。 「……」 うまくやれだって? 一体何を。 俺は、名前を呼ぼうとして、 そして 誰かに握られていた温度が、残ることなく消えたのを感じて。 意識が、そこで途切れた。
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