Ⅱ.よく晴れた夕暮れの空。

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***************** チャイムが鳴った。 「うん?」 たった今目が覚めたかのような感覚に頭を捻る。 渡り廊下の手すりを片手に、午後のスケジュールは緩やかに流れている。 (移動の最中に寝てた?) そんな器用な事できたのか、と自分に驚く前に辺りを見回す。 天井の吹き抜けに浮かぶ青空は晴れ晴れとしていて、おかしい。 けれど次には、何がおかしいんだろう?と自身に問いかける。 いつもの校内風景の筈なのに、何故か靄がかかって見える。とても不可思議な感覚だった。 おかしいといえば。 がやがやと行き来する生徒達の隙間に、探し人の影を見ようとする。 次が移動教室なら、薬代がいないのはおかしい。
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