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薬代が歩くたびに揺れる首元のそれに、俺はこの時気づいた。
「あ……うん。これもね、不思議。不思議そのに」
USB。記憶媒体物が薬代の首元に自然とかかっている。じっと見られる事に落ち着かなかったのか、薬代は早々に衣服の中に仕舞いこんだ。
「誰の、かわからないんだけど。持っていないと、おちつかなくて」
そうしずかに言う薬代は、何故かさみしさとあたたかさが入り混じった様な声色をしていて、そして俺もそれを受け入れた。そっか、同じような声で相槌を打つ。
そのまま目的地の教室に着いたから、俺は自然に、そのドアを開ける。
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