Ⅲ.胡桃にまつわる外の世界

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じゃあ、夢の世界だというaと、そうじゃないb……外の世界の、一体何が違うのか。 ……ええ、後々塩貝さんがご存知の事と重なるわね。 外の世界ではね、ヒトはもっと簡単(シンプル)欠如(けつじょ)した生き物だったの。私達全員が今当たり前に備えている知識(データ)、治癒遺伝子や史実知識…例えば、硝子で皮膚を切ればも、人類史や教養がもない。 出血が起きたら自分で止血処理をしなくてはいけないし、教育機関で歴史や国語といった教科にのせて、知識を収集しなくてはいけなかった……うん、二人とも実感ないよね。私達が当たり前としているこれらは、外から見たらきっと喉から手が出るほどの「夢」の力なんだ。人類史は常に病原菌との闘いがあったし、それでこそ勉学をしなくても基礎知識があれば、外の世界の学生は毎日遊びまわってただろうさ……うん? 話がそれたね。つまりは、胡桃の中の世界の住人(ヒト)は、外の世界の人間(ヒト)に比べ、超人的で進化した生物(ヒト)である、ということだ。   外の世界が「夢」見るような特別な力を備えた人類(ヒト)……それが享受されつつも当人達は当たり前だと思わされている。それがこの世界の実情だ。
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