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そう。それこそが住民達の能力を保っている仕組み。
「ノウ」との時差が小さい程、その住民は優秀であり存続が許されるのであり、逆に大きくあいてしまえば、あとはもうこちらで管理しませんよ、ポイするデータですよ、っていう事。
理想世界はより質の高い世界になるっていうのが、殻の外がこちらに抱いてる当たり前の期待。だから記憶の保持・生産に向かない、衰えが見えた個人は削除される。
“住民”って言ったけど、この災いは、リンク率が定着し・安定する成人期にはほとんど見られなくなる。だからこの災害の被害者の大多数は、就学期最中の……無垢に殻の空を見上げながら、自身の収まる所を懸命に探している若い子供達。
昨日隣で言葉を交わした、少しでも笑顔を見せあった、もしかしたら特別な存在でもあった……そんなクラスメイト達が、最初から存在していなかったかのように消され続け、当人達はその痕跡すら辿る事すら出来ない。そして明日には、自分がそうなっているかもしれないという不安が植えつけられる。
忘れているならそんな事象が起きていることすら実感もないけれど、削除は当たり前に起こりうる運命だという事は、唯一人の存在を除いては、入学当初の予備知識として刷り込みのように言い聞かせられてきたでしょう、塩貝薬代さん。
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