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―――ハナシハ ホントウダヨ
尾花さんが口を閉じてすぐ、初めて聞く声が響いた。
すべてを飲み込める状態ではなかった。でも、俺は小さく頷いた薬代を見る。
差し伸べられた手には、小さな記憶媒体がいる。
俺は尾花さんから聞いた、人物名を口に出す。
「『葉坂悠十』か?」
―――ソレ ハ ゼンニンシャ ノ ナマエ
USBは自身を葉坂悠十とは認めなかった。
しかし、一旦空白を挟み、またデータが再生される
―――デモ、オボエテル ボク ガ カレ ダッタ コト
「……そうか」
その電子音と記憶は、鮮明には繋がらない。でも、例えば最初から備わっている機能のように、俺は、その『葉坂悠十』という存在を、感覚全体で認めていた。
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