Ⅲ.胡桃にまつわる外の世界

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―――セツメイ オワリ ? 「ええ、貴方が……アナタの前任者である『葉坂悠十』と同期スリープに入っている間に、話すべき事は」 嘘はついてないわよ? と尾花さんは念を押すように告げると、データ音が若干低くなる。まるで、訝しんでるかのように。 ―――ジキ ノウコウケイシャ ヲ ヒキワタス セイコウノ カクリツ アガル  ソウ オモッテイタノデハ      「正直、最初は……話し始める前までは思ってた。でも、そうはしない。 茉也くんも薬代ちゃんも、ただのデータなんかじゃ、ないのだから」 私は、連れて帰る。 そう強く告げた尾花さんの目には、見上げればそこにある「ソラ」の色よりも……もっと深く、もっと自由に伸びた色が、輝いている。
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