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彼女もそうだった。
微笑む人によって出会った彼女との出会いは、きっと僕の人生で忘れることのない出来事となるだろう。
……それは言い過ぎかもしれないけれど。
いずれにせよ、彼女との出会いは忘れることが出来ない。
それだけは確かなことだ。
逃げちゃいけない。
逃げてはいけない。
逃げることは許されない。
「そうさ。きっとこれは僕の運命だった。罪だった。罰だった。贖罪なんだ」
「贖うことを責任と思うのなら、それはただの言い訳だよ。人間特有の、つまらなさを持っているとは到底信じられないけれどね」
どう言ったって構わない。
どう言われようと構わない。
でも彼女のことを悪く言うのは許せない。
許さない。
許そうとはしない。
これは僕の運命で、これは僕の罪で、これは僕の贖罪で、これは僕が一生背負っていかなくてはならない事実だった。
彼女を死なせてしまったこと、そのことについて。
「それは間違いではない。それは狂ったことではない。それは避けられたことではない。きっと彼女も死ぬことを受け入れていただろうよ。だからこそ……、」
だから。
微笑む人は名前の通り笑みを浮かべて、こう言った。
「だからこそ、私が殺したのだから」
これは、贖罪の物語。
これは、運命の物語。
これは、あやかしの物語。
そして、これは――少年と少女の物語。
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